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日本語教師こぼれ話 2011年

思い出のディズニーランド

 先日、学校行事の一つである遠足があり、クリスマスで盛り上がる東京ディズニーランドへ行きました。私が担任をしているのは毎日午後1時半から始まるクラスなのですが、当日の集合時間は午前8時50分。いつもならまだ夢の中…という時間だったので、「みんな起きられるかなあ」と私は不安でいっぱいでした。しかし!ほぼ全員が集合時間には揃っていて、「先生、出発しましょう!早く、早く!」と朝から超ハイテンション。普段から元気いっぱいのクラスですが、あんなにも目を輝かせているのは初めてでした。  現地ではずっとクラス単位(約20名)で行動しました。
「私、○○さんと初めてゆっくり話しました。うれしかったです!」「今スタッフの人、○○って言った~!この間習った文法だ~!」「自分の前に並んでいた日本人に、日本語が上手ですねって言われました~!」  みんな何かあるたびに嬉しそうにクラスメートと盛り上がり、私に話してくれました。聖徳太子のように一度にたくさんの人の話が聞ければいいのに、と思うほどみんなが口々に「先生!先生!」と話しかけてくれるので目が回るようでしたが、つたない日本語でも何とか自分の気持ちを伝えようとする姿に、胸が熱くなりました。
 翌日、冬休み前最後の授業でみんなに言われました。
「遠足の日の先生、目がキラキラ~!顔がニコニコ~!かわいかったです!」
お恥ずかしい…(笑)。でも、みんなの溢れる笑顔も素敵でしたよ!
 2010年の締めくくりはそんな思い出話に花が咲いた授業になりました。(滝沢)

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学生のコトバ

 私の担当する中上級クラスでは、今年の1月から週に2時間を使っておしゃべりの授業を行っている。その授業では学生たちがそれぞれ考えたテーマについて、学生自身が司会者となって他のクラスメートと意見を言い合ったり、自分の経験を話したりする。そのテーマは恋愛や結婚、就職や将来のこと、また近所づきあいの仕方から日本の中古販売のことまで、学生の生活と関係するものが多い。この授業を通して学生たちの考えや意外な一面を知ることができるので、毎週この授業を楽しみにしている。
 その日の提案者はAさん。クラスではおとなしく、あまり話さないAさんのテーマは「自信が持てない自分」。クラスメートたちは何とかAさんに自信を持ってもらおうと、自分の経験などを例にいろいろアドバイスし、励ましていた。みんなの優しさに感心していると、クラスメートのBさんがこんなことを言った。「できない、ということを決めるのは自分の心です。何でも絶対ということはありません。これは絶対この結果になるという考えは持ってはいけません。」それを聞いて私ははっとした。自分も将来のことなどを考えたとき、絶対無理だと決めつけて自分で自分のやる気をなくしていないだろうか。
 Bさんは普段の授業では冗談を言って人を笑わせることが多く、一見すると、あまり悩んだり、考えたりしているようには見えない。しかし、教室ではあまり表に出さないけれど、学生それぞれがさまざまなことを経験し、悩み、学んでいる。その中から出てくる学生のコトバは、教師である自分に大切なことを教えてくれる。(土田)

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3.11

 大地震は授業中に起きた。「怖い」と言う学生、ショックで泣き出す学生もいた。その日は一人で家にいるのが怖いと言って帰宅せず学校に残る学生もいた。
 翌日から学生は帰国を始め、私たちは安否確認に追われた。また計画停電によって授業を行うことが困難になったため、学校は学期末の4日を残して休校、卒業式も中止になった。留学生のクラスの入学式や4月期の授業開始も1か月延期された。
 私たち教師はこのような地震の際、どう対応すればいいのか。まずは学生の安全を確保すること。そして国にいる親や、送り出し機関に学生の安全を伝えること。幸いにも地震でけがをした学生はいなかった。
 地震が起きた時、学生の安全を確認するとともに私の頭をよぎったことは保育園に預けた子供のことであった。心配する私を学生が「先生、大丈夫です。」と励ましてくれた。海外にいる卒業生からもすぐにメールが届いた。教師として、もっと冷静な態度が必要だったと反省しているが、今は立場や国籍を超えて人と人が助け合う時。千駄ヶ谷にはそんな人と人とのつながりがある。今までも、そしてこれからもつがなりを大切に。1日も早く元のように授業ができる日が来ることを祈っている。(関川)

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Facebookと学生と私

 この間の授業で「顔」という漢字を教えていた時のこと。学生が「先生、顔の右のところ(『頁』)は、頭と同じですね」と発言。「そうですね。これは、1つで、『ページ』と読むんですよ。でも、どうして、顔の漢字に『頁』が使われているんでしょうね」。そう問いかけると、その学生から「FACEBOOKですから!」との答え。う~ん、なるほど。
 学生たちの間では、すっかり浸透しているFACEBOOK。私も数年前から、このSNSを利用している。卒業し、なかなか会えなくなった学生たちと、つながりあえる重要なコミュニケーションツールとなっている。
 先日も、そこに、うれしいメッセージが届いた。「先生、お元気ですか?私は今、○○航空会社の研修を受けています。これから東京へ行くチャンスがたくさんあると思いますから、うれしいです」。日本と彼の国をつなぐ航空便で、キャビンアテンダントとして日本語を使って働くことは、彼の前からの夢だった。そのように夢を叶えた学生の知らせを聞くときほど、教師にとってうれしいものはないと思う。彼のほかにも、翻訳家、日本語教師、はたまた在日本大使館の外交官など、学生たちは次々と夢を叶えていく。
 「夢を叶えようと頑張る学生たちのお手伝いをしたい」それが日本語教師を目指した私の夢。大きな可能性を秘めた学生たちの将来を楽しみに、今日も教壇へ向かいます。(佐藤)

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私達にできること

 震災等の影響により、留学生のコースは4月期の開講が1ヶ月遅くなり、ゴールデンウィーク明けからのスタートとなりました。
 国へ帰国した学生が日本へ戻ってくるというニュースや、残念ながら日本への留学はあきらめるという学生のニュースに一喜一憂しながら、開講に向けての準備を進めています。
 そんな中で、日本に残り毎日のように学校へ来て勉強している韓国人学生が今の気持ちを作文にしてくれたので、紹介したいと思います。
 この作文を読んで、私達にできることはまずは目の前の学生達の気持ちに応えることだと感じました。将来、この学生が日本に残ってよかったと思えるようにサポートしていきたいと思います。
(本多)

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 私は、3月11日の地震以降に個人的なことで一週間ぐらい帰国しましたが、3月19日に日本に戻ってきてからずっと東京で勉強しています。
 海外のニュースを見て緊張しましたが、東京に戻って、1ヶ月ぐらい過ぎた今考えて見ればそれは余計な心配に過ぎないと思います。
 留学生の中には地震のことで帰国した方もいるし、休学した方もいます。やはり両親の心配があると思います。しかし、私は戻ってからずっと学校に行って勉強しています。先生方の配慮の中で授業を受けながら春休みを過ごしています。日本に来た目的と自分の未来のために、そんなに簡単に諦められないと思います。
 個人的にも大切な友達が帰国することになってすごく残念ですが、自分が決めたことだからそれが最善だと思います。自分の選択が一番重要な時期です。
今の日本は春が訪れると、いろいろな木がいっぺんに芽を吹き出して花が咲いて、春の匂いが溢れています。春は事始の季節です。みんな一緒に春を感じながら勉強しましょう。

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ケンカでも感動する

 2月も半ばを過ぎると、進学先が決まる学生も増えて、授業の内容も今までを総括するような内容になっていきます。
 とある上級クラスで、クラス対抗で10分程度の発表テーマを作って発表することになっており、私は授業中にその準備をさせる役割でした。最初は学生がグループに分かれ、分担しつつ黙々と作業しており、私は個別にアドバイスしたりしていたのですが、ふと気付くと、片隅でケンカがはじまっていました。
「こっちは研究をまとめているのに、そっちが変えちゃったら意味がない」
「でも、聞く人がおもしろくないと思うから変えたほうがいいんじゃないの」
「私たちはみんなで発表するのに、別々はよくないと思いますけど」
とりあえずその場は収めたのですが、実は私はひそかに感動していました。
「みんなが日本語でケンカをしている」と。
というのは、このクラスは全員中国人、初級のころからずっと一緒の顔見知り同士なのです。また、作業時間なので必ずしも日本語で話さなくてよいと指示していました。その彼らが、誰に強要されるでもなく、たしかに日本語で会話をしていました。しかもケンカ。母語が同じ者同士、これは簡単なようで、なかなかできないことなのです。

 2年と少し前、彼らが初級の頃も私が教えていました。当時は全然コミュニケーションがとれず、中国語がほとんどわからない私は本当に苦労させられたことを思い出しました。
 でも今は、次のステージで日本語を使って活躍している姿が想像できます。
 初級から上級まで見守ってきた学生の卒業は、喜びもひとしおです。発表授業は、結局震災の影響で見ることはかないませんでしたが、その代わりに、彼らのケンカを思い出として、心に刻もうと思います。
「卒業、おめでとう。またどこかで会いましょう」(石川)

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『「待つ」ことの大切さ』

 発音の練習の時間の話です。学習者にとって区別が難しいと言われている発音の練習をしていました。
 まずは聞き分けの練習です。教師が発音し、学習者が聞き取ります。スムーズにできました。このクラスの学生は結構できるかも、と思いながら練習を進め、学習者同士でお互いの発音を聞き分ける練習段階になりました。
 すると、それまでのスムーズな練習は一転し、「私はちゃんと発音した」「いや、あなたは言っていない」「先生!私の発音を聞いてください。正しいでしょう?」と大変騒がしくなりました。
 その様子を見ているといろいろ教えてあげたくなりますが、ぐっと我慢して、教師は正しいかどうかうなずくだけ。そのうち自分たちでいろいろな方法で発音し始め、他の人に正しく判断してもらえる発音を探すようになりました。その結果、学習者同士で協力して良い発音をみつけていきました。「待つ」ことの大切さを実感しました。(早川) 

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『桃とカブトムシ』

 先週、遠足で「桃狩り」に行ってきた。
 数日前の事前指導で「食べ放題です」と伝えると、「2個でおなかいっぱいになる「えー、3個は食べられるよ」「私は1個かなあ」といくつ食べられるかで盛り上がり、うれしそうに話していた学生たち。
 遠足当日は、2個でおなかいっぱいと言っていた学生も「甘い」と言いながら3個、4個と食べていた。
 そのうち「うわあ!」と学生が騒ぎ始めた。何事かとのぞいてみると、東京ではめったに見られない大きなカブトムシが数匹。桃の木にいたのを学生が見つけたらしい。
 「先生、これ何といいますか。」
 「虫?」
何人かの学生が辞書を引き始めた。
 「カブトムシですよ。学校の周りでは見かけない珍しい昆虫です。」と言うと、「かぶとむし、かぶとむし」と繰り返して発音。さらに、お店で売っていることを話すと、驚いた様子。
 「これはいくらぐらい?」
 「500円で売れるかな?」
 「え、食べるの?」(これはもちろん冗談で)
と話は続き、あんなに楽しみにしていた桃を食べるのも忘れてカブトムシを見つめている。結局、最後は写真を撮って桃の木に戻した・・・はずだったが、帰りのバスの中でごそごそしているのを見たような気がする。途中でちゃんと自然に戻したと信じたい。ちなみに、「カブトムシ」は食べるのではなく、飼う、飼育するということはきちんと伝えておいた。(木島)

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『蝶々のシール』

 可愛い蝶々のシールが目に入って、手帳にでも貼ろうと思って買ってきました。
 翌日、担任するクラスの宿題をチェックしながら、そうだ、とふっとシールのことを思い出しました。それを宿題のコメントの横に貼ったら、きっと学生がうれしくなってもっとやる気が出てくると思いました。小学校の宿題などで、先生から花やスマイルを描いてもらい誰でも喜んだ経験があるでしょうから。
 そう確信してご褒美に蝶々のシールを宿題に貼り付けました。蝶々だから、さすがに男性には可愛すぎるだろうと思って、男子学生にはスマイルを描くことにして返却しました。
 学生の反応を楽しみに見ていたら、クラスでいちばん年が上の30代前半の男子学生に「先生、どうしてわたしの宿題に蝶々がなかったんですか?わたしもほしかったです」と真剣な顔で問い詰められました。
 そこではっと気が付きました。学ぶ側は年齢も性別も関係なく、教える側から褒めてほしい、認めてほしいものだと。
 その場でピンクの蝶々を男子学生全員の宿題に貼り足しました。(尹)

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『はじめてのシンポジウム』

 先日、学期の終わりにこれまでの学習内容の総まとめとして「シンポジウム」を行いました。今回のような「シンポジウム」を行うのは初めてでしたので、私たち教師はある程度の出来や目標到達レベルを活動前に予想していました。
 しかし、実際に活動が始まり、学習してきたテーマを発展させた資料の読みこみ、質疑応答の練習、リハーサルなどを重ねていくうちに、学習者は各自が担当するテーマについてさらに深く考え、自ら進んで準備をしていきました。当日のシンポジウムは私たち教師が初めに考えていたものよりも、もっとすばらしいものになっていました。
 シンポジウム後の活動を振り返る時間に学習者に話を聞くと、「リハーサルでの内容を振り返り、もっとシンポジウムらしくするために、自分でがんばってさらに調べてきた」「学校でシンポジウムの体験ができるから、今後のいい経験になるようにがんばった」などと話していました。
 大学や大学院進学というモチベーションがあるからというだけで学習者はがんばったわけではありません。今後の自分自身のために一生懸命取り組んでいるのです。そのような学習者に改めて尊敬の念を感じます。学習者は私たち教師が考えているよりももっともっと速いスピードで成長しており、それをしっかりと教師が支えていかなければと気づかされた活動でした。(番匠)

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『絵の上達より』

 先日、私がある文法についてホワイトボードに人の絵を書いて説明した授業の直後、学生達の反応に驚かされた。「日本人は本当にみんな絵が上手ですね。」と一人の学生が言い、周囲の学生もその発言に頷いたのだ。
 私は慌てて二つの意味で否定した。
 一つは、当然ながら日本人がみんな絵が得意なわけではないということだ。しかしながら、学生達にとっては、留学生活の大部分である日本語学校の授業で触れ合う教師が一番身近で一般的な「日本人」であるのだということに、ここで改めて気づかされた。
 また、もう一つは、私は決して絵が上手なわけではないとこいうこだ。むしろ、絵はもともと苦手なタイプである。教師になりたての頃は、授業中、即興で書いた絵をよく笑われたものだった。それでも授業や教材作りを重ねて行く中で、きっと下手は下手なりに少しは度胸とコツを得て上達しているのだな、と実感させてもらった瞬間であった。
 絵以外の面でも少しは成長しているといいのだが…。また明日からも、学生の上達に刺激を受けながら自分自身も精進していきたいと思う。(廣比)

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『学生とともに』

 進学を目指すクラスの学生のほとんどは20代前半の「若者」です。やはり若者らしく、最新のテレビドラマやアイドルグループには惹かれるものがあるようです。授業中の文作りや会話練習の中でもそんな話題を織り交ぜ、私が少しでも知らないようなそぶりを見せると、すかさず、「先生、ご存じないんですか?」となぜだか嬉しそう。「それはどんなドラマですか?」「どんな人ですか?」と質問すると、クラスみんなで勢いよく説明してくれます。おかげで普段あまりテレビを見ない私も、少しは時代についていけるようになったのではないかと感じています。
 テレビの話題に限らず、教室で学生と接していると、様々なことを得ることができます。学生たちの国の文化や習慣、反対に日本人ではあまり感じられない日本の印象など、勉強になることも多いです。もちろん教室では日本語教師と日本語を勉強する学生という立場ですが、コミュニケーションを通して、お互いに人間的に成長していける関係でありたいと思っています。(伊藤)

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